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脳脊髄液減少症とうつ病 闘病記

脳脊髄液減少症とうつ病 闘病記

2005年11月ブラッドパッチ1回目のまとめ

■脳脊髄液減少症・低髄液圧症候群の症状、診断とブラッドパッチ療法

(1)症状

交通事故などをきっかけとして、脳と脊髄を浮かべている「脳脊髄液」を包んでいる「くも膜」という固い硬膜に小さな穴が多数開き、脳脊髄液が「硬膜外腔」に漏れることで様々な症状を起こします。

典型的な症状としては、激しい頭痛で、朝起きてから立っている時間が長くなるとより脳が低下するため症状が悪化します。その他の症状として強い背部痛、腰痛、肩痛などがあります。

私の場合は約2年半、背部の疼痛と手足の痺れで、北里研究所病院、慶応大学附属病院、国立東病院の整形外科、神経内科、消火器内科、呼吸器内科、耳鼻咽喉科にて疼痛の原因究明のため様々な検査を行いましたが、原因が特定できず、麻酔科(ペインクリニック)にて痛みを止める対処療法として投薬、硬膜外ブロック注射を行ってきました。

脳神経外科のみ受診していませんでしたが、この9月末に山王病院にて初めて受診しMRI所見にて脳が通常位置より低下していることがわかり、脳脊髄液減少症の疑いが発見されました。

時間がかなり経過していますが、4年~5年前に、タクシーに乗客として乗っているときに後部からの衝突を2回、約3年前に頭部からの激しい転倒を1度経験しています。ただ、その際は翌日病院にて検査しましたが別段症状がなかったため、そのまま放置していました。

背部痛は約2年半前から出だし、ペインクリニックにて対処療法実施後もあまりの痛さに夜間救急を呼ぶこと多数でした。

痛さのレベルは、この世で最高の痛みを10とした場合、救急を呼ぶ7~9以上の痛みは月1回から数回、座薬などの頓服でなんとかやり過ごす5を越えるレベルが約週1回、平常時でも痛み止め薬を飲んでいる状態で3程度の痛みが常にありました。(硬膜外ブロック注射をすると2、3日間は痛みを感じない状態でした。)

(2)脳脊髄液減少症の症状に良い動作、悪い動作

・症状を悪化させる動作
 -腹圧を上げる動作(トイレでりきむ、腹筋をする、咳き込む)
 -身体に振動が加わる動き(自転車・自動車・電車・飛行機に乗る、背中を振動させるマッサージ)
 -長時間立っている
 -長い距離歩く
 -走る
 -重い荷物を持つ
 -首をひねる
 -底の固い靴やヒールの高い靴をはく

総じて言えば、運動は全て症状を悪化させます。ただ全ての動作を行わないとすると入院生活以外の生活ができないことになります。

・症状を軽減する動作
 -横になる
 -風呂に入る(半身浴)
 -イスラム経のお祈りのようなポーズをとる
 -プールや海に浸かる(泳いだり歩いたりしてはいけない)
 -水分を多くとる
 -快便
 -快眠

(3)診断

・まず、頭部MRIにより脳の位置が低下しているかを確認します。
・さらにRI(インジウムという微量の放射性物質を腰椎に注射)脳槽シンチグラムを実施し、1時間後、3時間後、24時間後に髄液の漏れがないかを確認し漏れ部位を確認することで確定診断となります。

小倉病院では、シンチグラム装置がないため頭部MRI検査のみで診断終了としており、髄液の漏れ以外で髄液が減少している場合には、誤診、誤治療となります。

ただ現在、東京にてブラッドパッチ治療を行っているのは、小倉病院、山王病院、日本医科大学の3ヶ所、全国では20名弱の医師しかいませんので、多少やばんでも、私の場合はすぐブラッドパッチを実施可能であった小倉病院に入院しました。
(山王病院は患者数が多く受け入れできない、また費用が差額ベッド代のため高いため山王病院への入院はできませんでした。日本医科大学には当たっていませんが、大学病院であるため空きベッド待ちとなろうと予想しました。)

(4)ブラッドパッチ治療と治療成績

自分の静脈血を採取し腰椎に注射し、血液凝固により「くも膜」に開いている穴を塞ぐ療法です。
治療後は治療効果を高めるため(穴の部分で凝固した血のかさぶたが取れてしまうことを防ぐため)に1週間から2週間は絶対安静、その後も極力安静を保つ必要があります。

ただどの位の期間安静にすべきか絶対的な基準はなく長いことにこしたことはないが、小倉病院の場合は2ヶ月くらい安静にしている人が治療効果が高いとのことでした。

治療は1回のブラッドパッチで症状が改善する人は全国平均で約1割程度で、複数回行うことにより治療成績が上がります。

山王病院の資料によると3~4回の治療で約7割が改善、3割は改善しないとのことでギャンブル的要素がまだ高い治療法です。(しかし、他に穴を塞ぐ効果的な治療法は確立していません。)

■第1回ブラッドパッチ治療の実際

小倉病院におけるブラッドパッチ治療の実際をまとめます。

(1)治療前からの点滴

ブラッドパッチ当日朝より下行性疼痛抑制系賦活型疼痛治療剤「ノイロトロピン」をソリューゲンF注に入れた点滴500ccと感染症予防抗生物質「ユナジン1.5mg」を生理食塩水に入れた点滴を7時45分より開始。

ブラッドパッジ実施後は腰に余分な血液が入るため腰痛を起こす場合が多いようですが、痛み止め「ノイロトロピン」はその予防、「ユナジン」は本人の鮮血を使用するのですが、念のための感染症予防のためです。

昼からは引き続き、ノイロトロピン入りの点滴500ccを行いました。

(2)治療の実際

15時過ぎにT医師が待つ空屋の一人部屋に移動しブラッドパッチを実施しました。その要領は以下の通りです。

・足元が上がった(頭の方が下がった)状態のベットに横になり、右手を下にして背骨に全身麻酔をする時の丸まったポーズをとる。

・左手はまだ点滴に使用しており、より清浄な血液を採取するために手術並みの消毒を右手に行い、点滴に使用するT型ジョイント付の針を手際よく血管に刺し(Tジョイントの片側には生理食塩水が付いており)そのまま採血せず、もう片方を閉じておく。とりあえず、すぐ採血出来る状態にしておく。

・背中側に回り、同じく丁寧に消毒し、腰部右の硬膜内に今度は血を入れるための針を垂直に差し込む。(背中側なので作業は見えない。)

・ふたたび、右手の方に回り、先程すでに刺してあるT型ジョイントの塞いであった方に注射器を付け50ccを採血。

・また背中側に回りその注射器にて硬膜外に刺してある針にて採血したての血を注入。私の場合は35ccでした。(女性は20~30cc、男性は30~40cc程度。)

注入され始めた感じは、麻酔科にて行う硬膜外ブロックのように患部に重さを感じるだけであるが、注入量が多くなってくるとまず足に重さを感じ、左足が勝手に伸びるように感じ、さらには頭、耳がグワァーン、ボーッとなったかと思うと、足、頭、耳が破裂するのではないかという位の中からの圧力を感じ終了。

ジェットコースターに乗るとGがかかり体が重くなるりますが、あれのもっと強い内部からの圧力といった感じがしました。

・あとは背中と右腕の針を抜き止血し、ベッドを平らに戻して1時間うつ伏せで休養。1時間後、若干のふらつきはあるものの歩いて自室へ戻り、足(腰)を上げた状態のベットで、仰向けにて安静。

ブラッドパッチ後翌日まで「ノイロトロピン」、「ユナジン」の点滴を行いました。

私の場合、腰痛は全くありませんでした。

■ブラッドパッチ3日後の経過

ブラッドパッチ3日後の夜間、痛みのレベル4~5程度の痛みのピークが出ましたが、時間の経過とともに消えました。(以前から痛みのピークは時間が経過する事で消えますが、どうにも我慢できない場合、救急車を呼んでいました。)

その後、痛みレベルが3程度のことは数回ありますが、痛み止め薬は一切服用せず、ちょうど4週間経過した今日現在、平常は痛みレベルは0~2で、ブラッドパッチ前の痛み止め薬服用での平常値3より、明らかに痛みが軽減しています。

痛み止め薬を飲まなくなった結果、そのために飲んでいた胃薬も飲む必要がなくなりました。

なお、ここ半年以上鬱病であるため、坑鬱薬は服用しています。

調子がいいので、少し長時間歩いたりしましたがその後はやはり痛みが出るようですので、今年いっぱい位は可能な限り安静にし経過を観察するつもりです。

なお、手足の痺れは解消していません。脳骨髄液減少症とは別の原因だと思われますので、別途治療が必要と思われます。
(暖めるとその時だけ軽減しますが、約1年半前からの痺れの症状は徐々に進行しています。)

■ブラッドパッチ治療(入院)費用

15日間の入院で総額106,863円、診断書を除けば96,363円。内訳は以下の通りです。
(小倉病院ではシンチグラム検査は行わず、ブラッドパッチと治療後の安静入院の費用です。また、大部屋使用で差額ベッド代は入っていません。)

(1)治療費(入院費用):健康保険適用にて3割負担 73,603円
・注射料 2,727円(ブラッドパッチ費用、点滴費用)
・処置料 464円
・入院料 70,412円

(2)診断書2通:保険適用外 10,500円

(3)食事代:保険適用外実費 11,700円

(4)レンタル費用:パジャマ、タオル、洗面道具、湯のみ等の保険適用外実費 11,060円

他、TVはTVカード購入が別途必要になります。

なお、山王病院では全室個室であるため、シンチグラム検査とブラッドパッチの3泊4日保険適用(治療後は自宅療養)にて約18万円と山王病院の資料には書かれています。

■ブラッドパッチ6週間後のまとめ

(1)背部痛

痛みは10のうちの4程度のピークが1~2週間に一度出ている。以前のような7~8を超える、救急車を呼ぶような激痛は発生していません。
4程度の痛みは、2~3時間で収まるため、痛み止めを殆ど飲まず痛みが去るのを我慢できる状況です。

痛みの位置は、以前は背骨右と右肩甲骨付近であったが、背骨左側も痛い事があるようになってきました。
総じて言えば、ブラッドパッチ前より明らかに痛みは改善している。

(2)手足の痺れ・冷え

小指、薬指のしびれが中指まで痺れるようになってきており、痺れの範囲が拡大している状況です。
ブラッドパッチ治療では改善は見られず、日光浴、入浴などで手足を温めるとその時は改善します。

(3)鬱

鬱の大きな要因Aであった背部痛が低下したせいで、鬱のレベルが全体的に下がったものの、家族に関する要因B、イベントで変動する要因Cは根本的には解決していないため、鬱は継続的に治療が必要です。
投薬によって鬱の強さ全体を下に抑えるように通院中。

■ブラッドパッチ治療9週間後の現状

(1)背部痛

治療3日後と8週間後に10が最大の痛みとして5の痛みが発生。それを超える痛みは発生していない。
治療前は7~8程度の痛みが月1回程度、5程度の痛みは週1回程度出ていたので疼痛はあきらかに減少した。

また通常時の痛みは、治療前は常に2~3程度の痛みを感じていたが(痛み止めのロキソニンを毎日服用)、現在は0~2程度で痛み止めも飲んでいない。
痛み止め薬の停止により、そのための胃薬も飲まなくなった。

痛みに関しては、全体的に明らかに低減し楽になった。
ただ痛みの部位は、以前は背骨右側と右肩甲骨であったが、今は背骨左側も痛みを感じる。

(2)運動と背部痛の関係

この2ヶ月間は安静にしている日が多いため、運動した場合に背部痛がどうなるかまだ比較できない。所定の2ヶ月が過ぎたので徐々に運動量を増やし背部痛の状況を観察する。

(3)手足の痺れ

治療後当初は変化はなかったが、現在は足の痺れはあまり感じなくなった。(足の痺れは腰椎付近の神経に起因)
手の痺れ(頚椎部に起因)は、相変わらずで、むしろ小指、薬指の痺れが中指まで拡大している。日光浴、入浴等で暖めると一時的に改善する。

(4)手足のむくみ

抗鬱薬リスパダールを停止した12月後半より改善。多少むくんでいる日はあるが多量の水分摂取のせいと思われる。(脳髄液減少症では毎日多量の水分を摂取した方が症状が改善するため毎日2リットル近くお茶、水を飲んでいる。)

(5)鬱

背部痛が3つある鬱の要因の一つであったが、背部痛が軽減した現在も顕著な改善は感じない。
2~3日の周期とイベントドリブンで良い悪いを繰り返している。

ただし、抗鬱薬の種類は減らしつつあるので、全体としては快方途上にあると見ていいのかも知れない。



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